着物から、7種類のスカート。モダンに和の模様を活かすリメイクの方法。

スカートの良さ。それは、大胆な模様や色合いのお着物からリメイクしても、楽しんで着用できること。成人式で一度袖を通した振袖、お母様やお祖母様から譲り受けた訪問着、あるいは季節ごとに大切にコレクションしてきた小紋や紬。どれも美しい意匠が凝らされた着物地を、抵抗感が少なくなくコーディネートに取り入れられるのが着物リメイクのスカートです。

多彩でさまざまな風合いを持つ着物から、より良いスカートを選んでいただけるよう、当店では７種類のパターンをご用意しています。今回の記事では、大切なお着物を特別な一枚へと生まれ変わらせご着用いただけるよう、スカートの形や特徴をご紹介しながら、どんな着物地が適しているかを、実例を取り上げながらお伝えいたします。

なぜ今、着物スカートリメイクが選ばれるのか？

タンスの肥やしになっている着物を「もったいない」と感じつつも、どうすればいいか分からない。その多くの理由は、着物の模様や色柄が大胆に感じて、洋服にした時のイメージが湧かないといった点です。そうは思いつつも、模様が好きだから服として着てみたいと思う方は、着物からスカートへのリメイクが、まさに理想的な解決策として選ばれています。

スカートへのリメイクをおすすめする理由が他にもあります。それは、着物地が上質であるからこそ、着心地が良いということです。着物の素材感によってもシルエットの向き不向きや着心地が変わるのもまた、着物リメイクならではの面白さです。

着物から製作出来る７種類のスカートパターン

7種類のデザインと着物地の相性について

着物からスカートへとリメイクする際、生地感とデザインの相性がとても重要です。柔らかな正絹の着物地や長襦袢を活かすパターンとしては、風鈴草フレアスカートやギャザースカートが人気があります。また、紬の素材感を活かしたいという方には、クロッカスのスカートやラップ風スカートをおすすめしています。それぞれ、着物地を活かすことを考え、当店のデザイナーがデザインしています。また、作りたいと思ったアイテムでも、着物地が十分にあるかを確認する必要があります。ぜひ、用尺の部分を確認し、使用したい着物生地が足りているかも確認することをおすすめします。

着物素材の魅力

• 独特の風合いと光沢: 正絹（シルク）は、そのなめらかな肌触りと、角度によって表情を変える繊細な光沢が特徴です。化学繊維では決して表現できない、奥行きのある艶やかさは、スカートになった際、優雅なドレープを描き、上品な高級感を演出します。紬（つむぎ）は、節のある糸で織られるため、素朴でありながらも温かみのある風合いが魅力です。カジュアルな中にも、上質な手仕事の温もりを感じさせます。
• しなやかさと丈夫さ: 着物生地は、長年の着用に耐えうるよう、丁寧に織り上げられています。特に正絹は、しなやかでありながらも適度なハリがあり、スカートになった時も美しいシルエットを保ちます。また、麻や木綿といった素材も、通気性や吸湿性に優れ、日本の気候に最適な丈夫さを備えています。これらの素材がスカートになることで、日常使いに耐えうる耐久性を持ちながら、着心地の良さも両立します。
• 季節に合わせた多様な表情: 大島紬や長襦袢などの薄さのある着物地は、涼しげで軽やかなスカートに。袷（あわせ）の着物からは、適度な厚みと重厚感を持つスカートが仕上がります。季節ごとに着物の表情を変えるように、スカートも一年を通して様々な素材感を楽しめるのです。

「Only One」の価値

私たちは、たくさんの着物に触れる機会があります。それにもかかわらず、同じような着物というのが全くといって良いほどありません。同じ絵型の模様であっても、色合いや生地感が異なっているため、現代の量産品が溢れるものづくりとはまるで真逆の世界にさえ思えてきます。

そんなオンリーワンの着物を生地とすることで、世界に一つだけのオリジナルなスカートが出来上がります。職人が一点一点丁寧に仕上げてきた物を、時代を越えて今に着用することは、とても素晴らしいことではないでしょうか。さらには持ち主の想いや着物の歴史が織り込まれた、唯一無二の物語を纏う喜びをもたらします。他にはない特別な一枚は、あなたのワードローブに深みと彩りを加えるだけでなく、地球にとっても優しい選択となります。

サステナブルな選択

ヴィンテージの家具や、古材を取り入れた建築は、マテリアルそのものを長く味わいながら活かす良い例だと思います。しかし、まだまだ着物リメイクは、そのような価値があることとして認識はされていません。（同程度に）もちろんモノは循環していくものですが、手放される多くの着物が綺麗な状態であったりします。

だからこそ、職人の手間暇を掛けた時間以上に、そのものが使う選択肢として、着物リメイクを依頼するお客さまも多くいらっしゃいます。当店で着物をスカートへのリメイクをオーダーされてお客さまの事例をご紹介します。

着物からスカートへリメイクしたオーダー事例

「つると」では、お客さまの大切な着物を、熟練の職人技とお客さまの想いを込めて、日常を彩るスカートへと丁寧にリメイクしています。ここでは、お客さまの大切なお着物が、新たな輝きを放つスカートで生まれ変わった事例の一部をご紹介します。

クロッカスのスカート

程よい張りのある着物地は、クロッカスのスカートに
タックがぐるりと入るふんわりAラインシルエットのスカート。相性のいい着物地は、紬や雨コートなど、比較的張り感があり、かつ少し薄めなもの。ウエストがゴム仕様になっており、たっぷりとしたスカートなのでワンサイズでご用意しています。

アイテム：クロッカスのスカート
お着物：程よい張りのある道行から

ラップ風スカート

着物の色合わせを活かした2色づかいのスカートに
羽織からも製作出来るようにデザインした、Ｉラインシルエットのスカート。柔らかな正絹の着物や、張りのある紬のどちらの着物地からでもおすすめなパターンです。写真のビフォーアフターは、メインを長着の表部分を使用し、一部に同じ着物の八掛部分をアクセントとして使用。脇から後ろにかけてゴム仕様となったパターンです。

アイテム：ラップ風スカート
お着物：程良い張りの紬の長着から

風鈴草フレアスカート

赤の美しい風鈴草フレアスカートに
ぼかしがモダンな赤の羽織をリメイクし、ギャザーの入るフレアスカートに。柔らかな着物からのリメイクがおすすめなデザインで、ウエスト部分がぐるりとゴム仕様になっています。写真のビフォーアフターでは、同じ生地から、ファスナーポーチも一緒に製作しました。シルクのトロみある生地感ですと、ギャザーが綺麗に生き品のある一着に仕上がります。

【お客さまの声】

　母の形見の羽織から
　母の羽織の柄が好きで、何かリメイクして着られないかと色々探していたところ、つるとさんの風鈴草フレアースカートを見て、これだ！とオーダーしました。イメージ通りの素敵なスカートに仕上げて頂きありがとうございます。大切に着たいと思います。

アイテム：風鈴草フレアスカート
お着物：落ち感の良い正絹の羽織から

織巻きスカート

帯を活かす巻きスカート
紬や帯など、張りのある着物を活かすデザインの巻きスカート。帯特有の刺繍や織り方に対応するため、裏地付きでのお仕立てとなっています。また、ウエスト部分は同じ帯の無地部分を使用し、アクセントになりながらも馴染む仕上がりに。きっちりとした形のため、フォーマルなシーンにもご着用いただけるパターンです。

アイテム：織巻きスカート
お着物：刺繍の絵柄が入る帯から

スカートに向いている着物とは？

上の表でもご紹介しているように、着物地の特徴によって、スカートの形に向き不向きがあります。しかし、多くのスカートパターンは、着物地を活かすようにデザインしているため、不向きなデザインはごくわずかです。そのため、素材や季節感、また模様の雰囲気などを意識してスカートのパターンを選ぶと、上手く仕上がるかと思います。

着物の選び方

• 素材と季節感: 正絹、紬、小紋、訪問着など、様々な着物からリメイクが可能です。季節感を重視するなら、絽や紗などの夏物で涼しげなスカート（ペチコートを着用した上で）へ、オールシーズン着たいなら正絹で少し厚さのある縮緬のようなしっかりした生地を選びましょう。
• 模様のや色合いの活かし方: 着物の柄は、総柄の場合と、部分的な場合、無地の場合に大きく分けることができます。総柄や無地の場合は、イメージがしやすいと思いますが、訪問着などの部分的な模様が入った場合には、その裾部分を使用することで着物の良さを最大限に活かすことができます。スカートですと、色合いや模様づかいがはっきりしたものでも、比較的抵抗感なく着用することができます。ぜひ、遊びごろこある一着を作ってみてはいかがでしょうか。
• 着物の状態: シミや破れがある場合でも、リメイクは可能です。しかし、破れが顕著の場合には、製作後にも耐久性の心配があるため、ボトムスアイテムへのリメイクはおすすめしていません。そのため、出来るだけ強度があるお着物をリメイクしましょう。ご相談いただければ、シミを避けて裁断したり、柄を活かして補修したりするなど、最大限に工夫を凝らします（別途カスタマイズ料金がかかります）。虫食いやカビがある場合は、事前に専門のクリーニングをおすすめします。

よくある質問（FAQ）：着物スカートリメイク編

Q1: どんな種類の着物でもスカートにリメイクできますか？

はい、基本的にほとんどの種類の着物がスカートにリメイク可能です。正絹の訪問着、小紋、留袖、振袖、紬、そして麻や木綿の着物まで、幅広い素材や柄に対応しています。ただし、長期間の保管による極端な生地の劣化、広範囲にわたるシミや破れ、または生地が脆くなっている場合は、リメイクが難しいこともございます。その場合でも、一部の無事な部分を活用して小物にすることも可能です。製作したアイテムが決まっている場合には、無料相談にて、お客さまの着物の状態を確認いたします。もしじっくりと相談したい場合には、オンライン相談 or 試着相談会をご利用ください。

Q2: 着物リメイク スカートの費用はどのくらいですか？

着物リメイクスカートの費用は、ご希望のスカートのデザインによって異なります。各アイテムページに記載している料金がオーダー料金となり、着物をお預けいただき、お仕立てまでの料金となっております。そのほか、納期短縮やサイズ、デザインなどのカスタマイズにも対応しております。その際、追加でのオプション料金を頂戴しております。

Q3: 着物リメイクは初めてですが、相談はできますか？

はい、もちろんです。当店のデザイナーが、お客さまのライフスタイルやスカートを履きたいシーンなどを丁寧にお伺いし、着物地にあったパターンをご提案します。オンラインで相談される場合には、実際にお着物お送りいただくか、お写真をお送りいただいた上で相談することも可能です。

Q4: リメイク後のスカートは、自宅で洗濯できますか？

着物地とデザインによって異なります。黒留袖やお召縮緬、繊細な手描きの着物地は、ドライクリーニングを推奨しています。また、裏地が付いているスカートの場合や数種類の着物地を使用したリメイク品に関しても、ドライクリーニングを推奨しています。ですが、多くのリメイク品は、ご自宅での洗濯が可能です。当店にてリメイクオーダーをされたお客さまには、そのお品物に適したケアの方法を一点一点お知らせしております。さらに洗濯については、こちらの記事をご覧ください。

Q5: 納期はどれくらいかかりますか？

通常、ご注文からおよそ4ヶ月〜6ヶ月程度のお時間を頂戴しています。お急ぎの場合には、納期を短縮することが可能です。また、特定の着用予定日がある場合は、事前にご相談ください。可能な限り調整いたします。納期短縮のオプションは、こちらから。