着物を解くということ

なぜ、着物をほどき、リメイクするのか。

その理由は、15年以上前に遡ります。

ファッションというものが、私自身にとって
カッコイイ存在てあってほしい、
そう願っていた20歳過ぎの頃。

すでに、ファストファッションが
ヨーロッパで人気を博し始め、
日本にもその後、流れ込んできました。

当時大学生だった私は、
恵比寿にある某書店のサービスコーナーでアルバイトをしていて、
通勤帰りの時間帯になると、
女性ファッション誌コーナーが
いつも、どのエリアよりも賑わう様子を、
やっぱり女性のファッションに対するパワーってすごいな、
と感じながら、よく眺めていました。

ふと、女性たちの後ろ姿を眺めていた時に、
その私たち女性のファッションへのエネルギーが1%でも、
社会を変えていくエネルギーに変わったら、
きっともっとこの世界に素敵なことが起きるはずだ、

と、そんな思いが自分の中から湧き上がってくるように
たしかな感覚で、はっきりと感じていました。

次の瞬間に、その1年前にボランティアで旅したインドの村、
女性たちが身にまとっていた色とりどりのサリー、
オシャレなアクセサリーたちを思い出し、不思議と何か繋がっていきました。

そう感じた時から、ファッションやオシャレを通して、
エコロジーでエシカルなライフスタイルを提案したいと真剣に考え始めました。

カッコイイ存在てあって欲しかったファッション業界では、
実際には、負の連鎖が生まれているという側面があることを
調べれば調べるほど、そのような状況に出会い、目の当たりにし、

毎年、大量の服が捨てられれしまっていること、
綿(コットン)の栽培では、世界の1/3の農薬が使われているということ、
そこでは、児童労働問題があること、
日本での衣料品の生産は、どんどん衰退し、
一方、発展途上国では、安い賃金で女性たちが働き、
その縫製工場にはさまざまな問題があることなどなど。
ファッションってそんなに負の連鎖を生んでいるのか、、と
悲観的になってしまうような状態。

そんな現状を少しでも変えられる力になれればと、
まずは、その課題を知ってもらうことから始めようと考え、
グラフィックデザイナーとして、学生ながら少し仕事をしていたこともあり、
エコロジーでジャーナリズム的な要素の入ったあたらしい感覚のファッション雑誌を作りたいと思い立ち、
いくつもの出版社の就職試験を受けました。
が、社会派なファッション雑誌を作りたいという考えは、
当時では異質な考え方に捉えられたようで、出版社の人々に話せば話すほど、笑われたり、
ジャーナリズムの方に進んだら?と提案されたり、
自分のアイディアは、出版社では普通ではないという現実にぶつかりました。

就職活動では、なかなか受け入れられないという苦い経験を経て、
自分で事業を起こすということを視野に入れながら社会人に。


25歳の時に、できることからスタートしよう!と、
思いを反映したモノづくりを小さくスタートし
3Rをコンセプトに古着をリメイクしたアクセサリーを作りはじめました。

当時のエコロジーブームとグラフィックデザイナーとしての経験も手伝ってくれ、
モード誌で取り上げていただいたり、大手百貨店で取り扱っていただいたり、
テレビでも紹介いただいたりと、忙しい日々が続き、数年があっという間に経った後、

「大方さん、着物は使えませんかね?たくさん集まってしまっていて、困っているんです。
とても高価なものなんですが、うまく再利用できないんです」

と、材料となる古着を仕入れていたリサイクル業者さんの工場長にこんな相談を受けました。

まさに、ちょうどその時、着物に興味を持ち始めたタイミングでした。
それまで、ほとんど接点のなかった着物だったけれども、
古着リメイクのアクセサリーを作りながら、ずっと考えていた、
エコロジーなファッションのスタイルってなんだろう?
本質的なカッコ良さを持つファションってなんだろう?という問いをずっと自分の中に持っていました。
着物は、繰り返し使うことを前提に生まれた形、何かヒントをくれる気がしていました。

それをきかっけに、自分の育った国の文化、ルーツに関心が高まり、
私たちの先人たちがこの風土の中で、つくってきてくれた文化を少し見直すようになりました。
自然の理とともに育まれてきた私たちの文化には、エコロジーのヒントがたくさんありました。
サステナブルで美しいものがたくさんある。
そこに焦点を合わせ始めるようになっていきました。

着物は、私たちの暮らすこの地で、長い時間をかけ、
様々な文化と織り交ぜられながら成熟してきた美と技術を持つもの。

ファッション=身に纏う「衣」に対するカッコよさとは?の追求は、
今も模索しながらですが、

私は今、15年前に抱いた思いは根っこにありつつも、
着物という日本の美学の詰まった「衣」と出逢い、
着物の美しさにすっかり魅せられて、

これをたくさんの人々に届けてゆきたい。
そうシンプルに考えるようになりました。

そして、美しく丁寧に作られたものは、大切にしてもらえる。

着物のまま大事にしまわれているよりも、
きっと、その美しさは、
たくさんの方々に見てもらった方がいい。

そう思い、着物を解いています。

15年前に必死にもがいていたあの頃から
今、見ているだけで楽しい着物を通して、
「衣」を創ることに取り組めていることを
とても幸せなことと感じています。

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